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■月のない路 翔太郎NOVEL■

 これぐらい親父にまかせれば良いのにさー。
 何が「仕事から帰ってきて、疲れてる人にそんなこと頼めるわけないでしょ」だぁ。
 普段はあーだーこーだ、ブツブツ言ってるクセに。
 息子がもし感電死でもしたらどうすんだよ…。


 …電源は切ってるけど。


 頼まれたからには仕方ない、もらうものはもらうけど。
 腹をくくって古くなった電球へと手を伸ばす。


 ったく、豪邸のシャンデリアとかだったらまだ替える気もするけどさー。
 つうかあのババアは手伝う気全くなしか?
 風がある日は髪が乱れて視界をしばしばさえぎる。
 今日はとくに風も強いんだし、せめて窓くらい閉めてくれれば、と風が流れ入ってくる窓を 睨みつけた。


 左手には新しい電球、右手には古い電球。
 これぞ両手に華ってか?


 だぁもうぉ…!?


 どうすんだよ、これぇ。
 …投げても大丈夫かな?良いか、下はマットだし。
 そーれ。


 …よし、電球は無事着地しました!っと。


 それにしても、電気のかさぐらい掃除しとけよなー。
 ホコリ溜まってんじゃん。


 ブツブツ庶民的なことを漏らしながら、新しい電球を取り付ける。


 …完了ぉっと。


 ふぅー、後はこの古い方の電球だけど……


 ッ!わぁッ!!


 古い電球を持った瞬間、火花のようなものが電球の口を走った。


 な、なんだぁ!どうしたぁ!?
 ……これまだ残ってたのか?
 て、電球って電源に接続されてなくても、放電するもん?
 …確かに放電したよなぁ?
 だって何か電流走ってたし、雷の小さい版が。


 ……な、謎だ。


 何でか気になるけど、エリーに聞くのだけはよそう。
 100%バカにされるのが目に見えてる…。
 とかいって、尚生に聞いても結局はエリーの耳に入るんだからなぁ…。


 ま、今は先に母さんに電球替えたこといって小遣いもらおっと。
 タダ働きなんかやってられねぇもんなー。



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